今日は息抜きに、言語についてのコラムです。
私は今まで、書き言葉=話し言葉と思っていたし、それをひっくるめて1つの言語だと思っていました。でも、見方を変えるとそれは全く別の言語だったのです。

書き言葉≠話し言葉

今回は、TEDのビデオから。テキストメッセージは言語を衰退させるのか?といった内容のスピーチ。

とどのつまり、流行り廃りが速い「書き言葉」を使いこなしているのは、多言語を使っているのと同じようなものだ!というお話です。

これはちょっと目から鱗だったのでご紹介。

そもそも、言語というものは、少なくとも8万年前に生まれているとのこと(もしかすると15万年前)。そんなに前なんですね。しかも最初に生まれたのは「話し言葉」。コミュニケーションの手段だから当然と言えば当然ですが。(動物が鳴き声を使うように)

そして、「書き言葉」として文字が生まれたのはそのもっと後。諸説あるそうですが、定説によると、人類の歴史を24時間換算して、文字が現れたのは、なんと午後11時7分と、かなり最近のことです。ここ⇒ここ⇒でもありましたが、やはり話す(聞く)ことから始まり、書きという順番なのですね。でも、そこまでタイムラグがあるとは知りませんでした。

 

さて、伝達手段として書き言葉が生まれたわけですが、書き言葉の強みも、もちろんあります。それは、「見直しができること」です。そして、「話すときにはできない言い回しが可能であること」

しかし小説や詩など、表現は美しいですが、そんな風に話す人はいませんよね。普段の話し方は、言語学者によると意識せず普通に話すとき7~10の言葉の塊で話すそうです。話し言葉が書き言葉と異なるのは、もっと自由度が高く、電報のように端的で推敲しない点。

確かに、話していると、あとで「ああ言えばよかった…」ということが良くありますが、文章だと漏らさず書くことができますよね。もちろん、その逆もあって、書いた内容が重すぎてしまったり、複雑な内容だと文字だけの情報では伝わりにくかったりもしますが。

私たちは、言語として文字を目にする機会が多いので、言語=書き言葉と考えがちですが、実際、言語本来の姿は「話し言葉」です。

これが目からうろこでした。私は今までそう思っていました。でも言われてみれば、そうですよね!言語って面白い!

「話すように書く」テキストメッセージの誕生

話し言葉と書き言葉は異なるにもかかわらず、昔は、スピーチは大体、書き言葉のように話されていました。

そして書き言葉のように話せるなら、話し言葉のように書きたいと思うこともあるでしょう。そこでテキストメッセージが生まれました。チャットとか、メッセンジャーとかで友人と話すときのくだけた文章のことですね。構造はとてもいい加減だし、大文字、句読点は気にしません。テキストメッセージは「書く」動作を挟むけれども、「指で話す」ようなもの。

こうして、話すように書くことが可能になりました。これは一種の堕落のようにと思われがちです。文法や学校で習ったことから逸脱するからですね。しかし、これはある種の多様性だというのです。

lolとか、英語では面白くないところでも使われていて、共感や好意を示す指標になっています。”/(Slash)”は話し言葉では話題の転換に使われるそうです。
日本語でいうと「~ね」とかが例に出てましたが…共感でいうと、「だよねー」とかでしょうか。
(笑)とかもそれに近い感じもします。日本は(笑)の変化がものすごい数ですよねー。↓面白いです。

多言語を既に使いこなす私たち

その見方で見ると、言語の境界があいまいになって、自分が「日本語」を話しているんだけれども、その中にも(方言も含めば)かなりの多様性を含んでいることに気づきます。自分が一つの言語しか話せない(話してない)という思い込みが壊れる気がしませんか?私はそんな感じがしました。話し言葉と書き言葉も別物だし、実は自分が使ってる「言語」が「ひとつ」ではなくて、実に多彩な「言語」を使っているのです。とするなら、実に興味深いコミュニケーションツールとして「言語」を見ることができるようになります。(もはや日本語というくくりではないのです)

そうなんです。「書き言葉は新しい言語」なのです。

一昔前の人に今の若者の書いたテキストを見せても理解できないだろう。若者はテキストメッセージとして新しい書き言葉を開発し、それはつまり複数の言語を操っているのと同じだ。(普通の書き言葉とテキストメッセージを併用しているので)言葉を2つ使いこなしているということになる。
方言の使い分けにも同様のことが言える。言語のレパートリーを増やしているのと同じこと。今この瞬間もまったく新しい言語が生まれつつあるということ。

これは本当に面白い切り口だと思いました。

日本語なんか、記号を使ってギャル文字作ってますしね~。なんとなくわかるけど、あれはもう本当に別言語レベル^^;考えた人(女子高生?)すごい!

そうすると、あれ、私たち、普通に多言語を使いこなしてるんだ!ってね。日本語は書き言葉もですが、話し言葉の流行早いですよねー!それをうまく説明してくれているのがこちら(笑)最近ハマってます。

まとめ

ある種の言語を使って読み書きしている時点で、すでにある意味「多言語話者」といえるのかもしれません。
そう思うと、日本語以外の言語も、なんだか抵抗少なく覚えてみようかなって思える気がしてきました。(だってギャル文字とか読める人なら絶対できると思います。)次に狙っているのはスペイン語。

私たちはpolyglot!多彩な記号を使って、いろんな人とコミュニケーションを楽しみましょう♪

おすすめの記事